コラム

サブスクと障害福祉サービス

最近よく目にする「サブスクリプション(subscription)」ですが、もともとは新聞や雑誌の定期購読を意味する言葉でした。動詞の「サブスクライブ(subscribe)」は「定期購読する、定期購入する」という意味になります。同じように今の社会で利用されるサービスというくくりの中で、私たちが提供する障害福祉サービスとこの『サブスク』サービスとの違いをどう考えていくと良いのでしょうか?今回は、このサブスクサービスについて、少し考えてみました。

目次

1.「サブスクリプション」って何だろう。
2.今の話題のサブスクサービスは?
3.障害福祉サービスは、サブスクに追い着いていけるのか?
4.まとめ

1.サブスク(サブスクリプション)って何だろう。

『サブスク』とはサービスや製品を一定期間利用することに対してお金を支払う方式のことですが以前の定額制や月額課金制のサービスからよりバージョンアップして、企業目線でサービス内容や価格を決める様式から顧客ニーズに応じて内容がアップデートされていくのが大きな魅力となっています。漫画の読み放題、動画配信、飲食ではオイシックス、Ubereats もサブスク利用と言うところでサービスの幅を広げています。変わり種では家具や絵画のサブスクもあります。あの『無印良品』も「必要なモノ」を「必要な期間だけ」と言う家具の定額サービスに参入しています。


出典:無印良品・家具の定額サービスより

先日はお菓子のサブスクで大成功を収めた企業「スナックミー」がテレビ番組(カンブリア宮殿)で取り上げられました。スナックミーでは、「おやつと世界を面白く」と様々な取り組みがされていて、この企業のWEBサイトも本当に魅力的なものになっています。

2.今の話題のサブスクサービスは?

他にどんなものあるかな?と調べてみました。皆さん、コークオン(CokeOn)をご存知でしょうか?

スマホにこのアプリを入れてキャッシュレス決済が出来、CokeOnパスでは月額でお得にドリンクが飲めるサブスクサービス。またCokeOnWalkでは歩くとポイントが貯まりそのポイントを友達とシェアできたり自分で好きなドリンクと交換もできます。サービスはどんどん充実しR4.10現在でこのアプリは4000万ダウンロードを突破。凄いです。まだまだ対応の自販機は少ないかもしれませんが、これからどんどん増えてくると思いますので、近くのコカ・コーラさんの自販機を探してみてください。アプリ内で設置場所の検索が可能です。お気づきの様に、いつの間にか時代は持つのではなく必要な時に必要なだけ利用する形にサービスが移行しています。そこまでなじみ深い言葉ではなかったのに多くのサービスのCMがテレビでにぎわいを見せています。親しみのある所では、音楽AppleMusicや動画Spotify、Amazonプライム、NETFLIX、など最初はデジタル領域で広がりましたが今では先ほどの事例のように車・家具・洋服・食品と言った領域に広がってきました。またWord 、ExcelのようなソフトもMicrosoft365とサブスクサービスに取り替わって来ています。

今やどんな業界でも、顧客ニーズを汲み取りそのニーズに沿ったサービスの提供に努めています。

3.障害福祉サービスは、サブスクに追い着いていけるのか?

サービスには必ずそれを受け取る、使う人がいます。前項で触れましたがその相手のニーズに沿ったものを提供していくことが重要です。これは障害福祉サービスにおいても同様で、私たちは利用者ニーズに真摯に寄り添った支援を目指しているはずです。では、私たち障害福祉サービス事業者は、今のサブスクサービスのような消費者の利便性や面白み、時代の波に乗るように、そしてそのニーズに応えようとできているのでしょうか?サブスクのようなものは何か、次元の違うものであると考えているのではないでしょうか?

マーケティング活動の一つで利用される側の世代を切り口に特徴づけを行う手法があると聞きました。福祉サービスでも、利用される世代ごとに保育サービス、介護サービスと別れますが、障害福祉サービスはすべてのライフステージに渡って提供するサービスですが、受け取る方たちの一人一人の世代はどんどん変わって行きます。この生まれた時期によって、どんな事に興味を持ち行動するのかといった観点で有効な指標が異なることから、効果的なマーケティング施策を検討するうえで、「世代」を考慮せざるを得なくなってきたと言われています。マーケティングなんて、『福祉には相容れない』と片付けるのではなく利用される側のニーズ、利便性を丁寧に考え制度自体を検討することは重要なのではないかと感じました。世代マーケティングで有名な世代は、「ミレニアル世代(Y世代)」と「Z世代」です。この世代はそもそも、ダグラス・クープランドと言う小説家のベストセラー『ジェネレーションX』から始まった言葉です。障害福祉サービスを利用される方の若い世代はこの中の“Z世代”であるという事です。世代についての表を検索して見つけましたので生まれ年代で比べてみて下さい。

さて、ミレニアル世代は、インターネットを利用した技術やサービスが急速に発達する時期に成長したため、高い情報リテラシーを有しているそうです。また、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求め、仲間意識や社会貢献への関心が高い傾向が見られるといわれています。大きな災害も発生したことで絆という言葉も好まれて使われています。次のZ世代は、物心がついた時からデジタル技術が生活に入り込んだ「デジタルネイティブ」と言われ、たとえ障害があってもPADやスマホなど新しいデジタル機器を当たり前のように使いこなす方たちを皆さんも目の当たりにしているのではないでしょうか。このZ世代は一方ミレニアル世代と比較すると、現実主義でコストを重視し、貯蓄に高い関心をもっていると言われています。一般の消費行動と異なり障害福祉サービスの選択では、全てにこのマーケティング理論を使えないにしても株式会社の参入している放課後等デイサービス事業などは、競争も激しいと聞きます。まさしくこう言った理論からプログラム内容、ハード面の設備設計、スタッフ教育などの組立てを考えていかなくては、選ばれる事業者にはなりえないでしょう。利用者ファーストの考えから私たちは、制度通りのサービス提供だけではなく、こうしたマーケティングの考え方を意識してサービスの質を上げていかなくてはいけないのではないでしょう

4.まとめ

今回のコラムは、現代社会を彩るサブスクサービスのご紹介からマーケティング理論、世代別の切り口でサービスを考えるなど、サービスのあり方にについて考えてみました。障害福祉サービスは利用される方の想い、未来、ニーズを真摯に受け止め、提供するものでした。私自身、サブスクサービスを利用し一方で職業として障害福祉サービスを提供しています。サブスクサービスは何かまったく違うカテゴリーのもののように認識していましたが、サービスと言う大きなくくりと、使う側と提供する側があるという側面で前述したように、簡単に片づけてはいけないように感じました。私たち障害福祉サービス提供者は、障害福祉に対する専門的な視点を持って支援を行っていくのはもちろんのこと、その専門性の中に、時代の波やサービスを利用される方たちの世代による感覚の違いや置かれる生活環境をきちんと捉えて最適な支援を考えていく必要があると感じました。

コロナ禍を通し、多くのサービスがその形態を変えそれぞれのカスタマーに対し対応して来ました。私たちも、変えてはいけないものもありつつサブスクサービスのように、その専門性を活かしながら利用者の方に寄り添った支援に、日々バージョンアップしたサービスの提供に心がけなくてはと思う今日この頃です。

出典:・NTTdocomoビジネス
コークオン
・フリー百科事典『(Wikipedia)』
・株)HRインスティテュート用語解説
スナックミー(企業サイト)