コラム

支援の方法には答えがある!

今まで自分自身、「支援の方法には答えが見つけにくいから・・・」と思い続け、職員たちにも言い続けていました。しかし、最近受けた研修の中で講師の方から「支援の方法には答えがあります!」と言われたことがあり、自分自身も「えっ!」となってしまいました。これらについて記載させてもらえたらと思います。

【目次】
1.支援の方法には答えがある
2.その背景
3.これからの支援について
4. コラムまとめ

1. 支援の方法には答えがある!

冒頭でも述べたように、ある研修を受けた際、講師の方から「利用者の支援の方法には答えがある!」と言われました。最初聞いたときは「えっ!」と驚きましたが、色々自分の頭の中で整理をしていくと、日々の利用者支援の中で「ああでもない、こうでもない」と悩んだり、つまずいたりしながら、やっと支援方法を見つけた!と思ったら、またスルッと抜けていったりを繰り返し、もがき苦しみながら「これかも!」という一つの光を見つけ続けていくことなのかな?と個人的には思いました。

2. その背景

数年前、障がい者虐待防止法ができた当時、利用者が興奮した際の「利用者のホールドの仕方」というものの研修やテキストなども多々ありました。しかし最近ではどこを探してもそのような資料などは全く見かけなくなりました。(噛みついてくる利用者がいた場合、その方の鼻をつまむと苦しくて噛むことを止めるなど教えられたこともありました。)

「利用者に対するホールドの仕方」などの研修、テキストなどが見られなくなった理由の一つとして、行動障がいのある方に対する支援の方法というものが確立されつつあることかと思います。

(鳥取大学の井上雅彦 教授の研修資料を一部引用します)

「行動障がいの方への支援方法として」

・行動障がいといわれる行動のほとんどは環境とのかかわりの中で学習された行動である
・環境とのかかわりから行動をとらえていくと、本人にとっての行動の「意味」が理解できる
・不適応行がいが生じやすい環境を整備することで行動障がいは改善できる
・不適応行動に代わる適切な行動を伝え続けていくことで行動障がいは改善できる

また井上教授は下記のようにまとめられています。

・環境を整備することが対応の基本
・困った行動が出現しにくい状況を考えてみる
・環境の整備は物理的構造化、スケジュール、ワークシステム、視覚的構造化、刺激の調整があげられる。

とまとめられていました。

3. これからの支援について

「利用者の支援の方法には答えがある」=「今、行っている支援の根拠を見つけていく」かもしれません。(その支援はなぜそのように行われているのか?その支援が本当に利用者にとって本当に良い支援なのか?を考え続けることかもしれません)
昔、介護の支援の行い方で利用者をベッドから車いすなどに移乗する際、「ベルトを持つ」と教わった時期もありましたが、今は違います。その理由としては、もちろんベルトから抱えるとお尻に衣類が食い込み不快な気持ちはもちろんですが、入浴介助のとき、移動していただこうとした際、ベルトをつかむ方法と同じ支援ができないためこの方法は難しいとなったとのことです。
以前は暴れる利用者、言う事を聞かない利用者に対し圧力、場当たり的に利用者を力で抑制できる職員が一目置かれていた時代もありました。しかし今は違います。今は「支援に対する根拠」を示すことが我々、福祉施設に努める職員の仕事の一つかもしれません。

4. コラムのまとめ

「根拠のある支援」を行い続けることがこれから先、福祉業界の専門性を高めていくことによって福祉の仕事の魅力、福祉の今後の成長につながることなのかと思います。

これが正しい!と思われる支援方法を見つけることは難しいかもしれませんが、ご本人の立場に立ってどのような支援が良いのか考え続け、根拠のある支援、専門性を高めていくことによって、利用者の方たちも生きやすい環境に近づけることができるのかもしれません。

鳥取大学 井上雅彦 教授の研修資料 一部引用