コラム

ダイバーシティと障害福祉サービス

皆さんが普段耳にするカタカナの言葉の中で気になるものをピックアップし、障がい福祉と関連させて、このコラムを書いています。今回は、このダイバーシティについて、少し考えてみました。今、比較的注目されているのは、ダイバーシティ経営に関するところでの議論のようです。

【目次】

1.そもそも「ダイバーシティ」って何だろう。
2.なぜ、今ダイバーシティが注目されるのか?
3.障害福祉サービスと、ダイバーシティの深い関係性?
4.まとめ

1.そもそもダイバーシティって何だろう。

『ダイバーシティ』とは直訳すると「多様性」、でそれにインクルージョン「受容性」を足して、『多様な人材を活かしその能力が発揮できるようにする取り組み』を指す言葉として使われています。現代社会において、不足する人財の課題をクリアしなおかつSDGsを意識すると、多様性の受容に行きつくのではないでしょうか?前回のコラム『サブスクと障害福祉サービス』でもご紹介しましたが現代社会で主に活躍しているミレニアル世代(明確な定義はなく出典により多少の区切りの誤差があります。)は、物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求め、仲間意識や社会貢献への関心が高い傾向が見られるといわれています。大きな災害も発生したことで絆という言葉も好まれて使われ『多様性』に富んだ世代と言われています。障害についても社会で幅広く受け入れられて来たことはテレビ番組一つとっても明らかだと考えています。他にもLGBTQ、人種と様々な多様性について、

私たちは考えて行かなくてはいけないそう言ったターニングポイントに社会は立っているのかと思っています。

2.なぜ、今ダイバーシティが注目されるのか?

私が印象に残っているのは、アカデミー賞の選考基準が変わったことです。2016年にアカデミー賞の会長が多様性を受け入れるためにアカデミー会員のメンバーを見直すという声明を発表しました。『ジェンダー、人種、民族、性的指向といったあらゆる面を内包すること。わたしたちはこのコミュニティーの本当の問題に気付いています。そして、共に前進するために、わたしに働きかけてくれた人々に心から感謝します」とさらなる多様性の重要性を説いたのです。

アカデミー賞会長、白人だらけのノミネーションに選考メンバー見直し発表 – ライブドアニュース (livedoor.com))この会長も女性で、白人だらけのノミネート俳優の状況に一石を投じた形になりました。

そして近年では韓国映画が作品賞を受賞しています。権威のあるアカデミー賞でさえ、選考の視点の狭さに気づき作品賞の選考基準の変更に踏み出したのです。
一方で、企業経営・組織運営にも多様性が必要だと言う考え方が、広まっています。いろいろな人の意見を反映させていくことで、組織が活性化します。似たような考えの人ばかりが集まれば、組織は同質化し変化しなくなります。組織が可変性を持ち、柔軟に時代に対応していくことでその成長が期待できます。経済産業省では、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。「多様な人材」とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。ダイバーシティ経営の推進 (METI/経済産業省)
とは言え、多くの取り組みでは政府も含め、女性活躍に視点が行きがちだと感じています。LGBTQ、重い精神障害をお持ちの方、人種間のせめぎ合い、そこまでの深堀はハードルも高く課題は山盛りです。

3.障害福祉サービスと、ダイバーシティの深い関係性?

福祉サービスを利用される多くの方はいろいろな困難を抱え、また障害をお持ちのために様々な人生経験をされてきています。よって多くの価値観が集まって来ているのではないでしょうか?『みんな違ってみんな良い。』この言葉は、私たちにとてもなじみのある言葉です。多様性の受容です。


そして、障がい福祉サービスではある一定の利用上のルールはあるとは言え、利用される方の年齢・性別・宗教上の違い・性的指向に関わりなく、サポートの手を止めることはなく、そのお困りごとに焦点を当てそれに対し解決の手立て、支援を考えて行きます。また働くスタッフにも幅広い基準で門戸を広げている組織が多いと感じます。当法人においても、80歳を超える高齢のパートさん、難病を抱えているスタッフ、障がいのある方も見えますし、また学歴も様々です。重要なのは障がいに理解を持ち、法人の理念・指針に沿って働くことができるか?そこに多様性の議論を引っ張り出してくるのではなく、気が付けばダイバーシティ経営になっていると考えています。先端行ってますよね。女性活躍推進法が策定されるずっと以前から私たちが働く福祉サービスには、もともと多くの女性が働いています。私も含め、女性のトップも多く活躍されていますがその数は男性のそれに比べまだまだかなりの差があるのは現状です。

女性活躍推進法のおかげで、今後もより多くの女性が働きやすくなり、女性なりの視点でマネジメントをされる方が増えて行くと障害福祉サービスはより多くの女性スタッフが力を発揮できる場となるのではと期待しています。そして女性ばかりではなく、障がい分野が今まで培ってきたスキルやスキームで多様性を受け入れ、提供する側も利用する側ももっと自由で柔軟な実践ができるようになっていくと良いなと考えています。

4.まとめ

今回のコラムは、ダイバーシティについて障害福祉サービスの在り方に照らし合わせて考えてみました。『ダイバーシティ経営』と言うと最先端の取り組みのように感じられますが、私たち障害福祉サービスを運営している側からすると「それって、ずっとやってきたことだ」と。そして社会に向けて、インクルージョンを訴えてきたのは、我々自身ではなかったのでしょうか?
まさに、今、社会は多様性ダイバーシティと受容インクルージョンの推進により組織の活性化、企業ではその有効性を見出し企業の発展に向けて動いています。いよいよマイノリティのようだった我々の時代の到来です。

障害福祉サービスの世界では、いつだってダイバーシティインクルージョンなんだと私は考えています。

出典:フリー百科事典『(Wikipedia)』

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