コラム

『語彙力』

大学を卒業して社会人になり、もうすぐ丸11年が経とうとしています。年齢も20代から30代となり一人の成人した大人として過ごす中で、年々自分が発する言葉の「語彙力」というものを気にするようになりました。「支援者」という仕事は、仕事柄毎日多くの方と話をします。利用者の方、そのご家族、一緒に働く職員、外部関係機関の方等、話し方や表現の仕方はまちまちです。今回は「語彙力」とは何かを紹介しながら、障がい者の方を支援する支援者としての語彙力も合わせて考えていきたいと思います。

【目次】
1.「語彙力」とは
2.「語彙力がない人」の特徴
3.語彙力を高める4つの方法
4.まとめ

1.「語彙力」とは

語彙力とは、さまざまな言葉の意味を理解し、必要に応じて適切に使いこなす能力です。語彙力の高い人は、単語や熟語の知識が豊かなだけでなく、相手や状況に合わせ別の表現に言い換えることができます。「語彙力が高い人=言葉をたくさん知っている人」というイメージが強いかもしれませんが、辞書的な意味を知っているだけでは不十分です。会話や文章で的確に言葉を使いこなせなければ、「語彙力がある」とは言えません。語彙力は「語彙の量:どれだけ多くの言葉を知っているか」と「語彙の質:状況に応じて、知っている言葉を適切に選び、使えるかどうか」の2つの能力で構成されています。

2.「語彙力がない人」の特徴

「語彙力がある人」がいる一方で、「語彙力がない人」もいます。「語彙力がない人」は、どのような話し方の特徴があるのか、紹介します。

・「すごい」「やばい」などを多用する

きれいなものや、美味しいものなどに対しての感想が、何でもかんでも、「やばいキレイ」「とりあえずすごい」などで済ましてしまうことはありませんか?10代であれば、まだ許されるものの、社会人になってもこの言葉ばかりを多用して会話をしていると、稚拙な印象があり、品格を疑われてしまう可能性もあります。

・「あれ」「それ」などで済ます

言葉を知らないがために、固有名詞を「あれ」や「それ」で代替し、なんとか伝えようとするというのも、特徴の一つです。「あれ」や「それ」を多用すると、途中で会話が食い違う可能性もあるので、特にビジネスの場においては注意が必要です。

・ボディランゲージで伝えようとする

「語彙力がない人」ほど、しっくりくる表現方法が分からないため、ボディランゲージでなんとか伝えようとします。「このくらいの大きさで」「こんな形をしていて」「これぐらいの量があって」などと、身振りで表現してしまうのです。子どもであれば可愛らしいですが、大人になってこの表現方法しかできないのは、少し恥ずかしいです。

3.語彙力を高める4つの方法

語彙力は、日々の心がけや努力の積み重ねによって鍛えられていきます。ここでは、4つの方法を紹介します。

・言葉への感度を高める

これは、「言葉にこだわる」と言ってもよいかもしれません。ニュースや会話、ドラマや映画を観る中で「どのような言葉が、どのような場面で、どのように使われているか」を意識するようにしてみましょう。その中で素敵な表現があればメモしたり、調べたりする習慣をつけるようにすることが大切です。

・さまざまなジャンルの書籍を読む

書籍にはたくさんの言葉が使われています。読書習慣を持つことも語彙力を高めるうえで非常に有効で、ポイントは「多様なジャンルの本を読む」ことです。特定の分野に偏ると、そこで使われる語彙に詳しくなってきた時に、新たに出会える語彙量が減ってしまいます。

・多様な人と会話する

よく使われる単語や言葉の表現方法は、属しているコミュニティなどによって影響を受けることが多いです。そのため、自分とは異なる世代や性別、職業、価値観、ライフスタイル、趣味嗜好の人と話してみるという方法もおすすめです。相手との会話の中で「面白い」「素敵だ」と感じる言葉の使い回しや表現を自分の会話の中で取り入れていくことで、自分自身の世界も広がりますし、語彙のレパートリーもぐんと増えます。

・アウトプットする

インプットだけでもなく、「書く」「話す」といったアウトプットも重要です。たとえば「SNSやブログで発信する」「日記をつける」「動画や音声メディアを活用する」などがあります。そうした場を上手く活用しながら、自分の考えや意見などをアウトプットする習慣を持つようにしてみてください。

4.まとめ

今回ご紹介した「語彙力」を普段の自分の会話に当てはめてみると、正直「自分は語彙力がない」と感じた人がいたかもしれません。私も、その中の一人です。しかし、一方で「支援者」として障がい者の方と接する中では、一概に「語彙力がある」ことだけがいいことばかりではないということも感じました。利用者の方の中には複雑な表現では理解ができない方やオーバーな表現のほうが伝わりやすい方も多くいらっしゃいます。そのような時に私たち支援者は、「語彙力がない人」の特徴で挙げられた「すごい」「やばい」といった誇張した表現やボディランゲージをあえて使用したり、支援者同氏の会話の中で「あれ」「それ」といった直接的な表現を濁す言葉を使用することが必要になる時もあると感じています。今後は、より語彙の量や質を身に付けていきながらも、「支援者」としてその場に適した言葉遣いを意識していけるようにしたいと思います。

引用:語彙力とは? 意味&鍛える方法まとめ – STUDY HACKER(スタディーハッカー)|社会人の勉強法&英語学習

語彙力を鍛えるには量と質が大事!語彙力を高める4つの方法|グロービスキャリアノート (globis.ac.jp)