コラム

直営給食と栄養ケアマネジメント

栄養ケアマネジメントとは、と聞かれたとき、スクリーニング・アセスメント・計画の作成・支援の実践・モニタリングと答える栄養士がいると思います。これらは(栄養マネジメント加算)の算定条件の一つであり、栄養ケアマネジメントを行うための手順です。
栄養ケアマネジメントとは、「利用者が自立して快適な日常生活を営み、尊厳ある自己実現を目指すために、一人ひとりの健康状態に着目し、栄養状態や食生活の向上を図る取り組みのこと」で、当法人でも取り組んでいます。

【目次】

1.当法人の厨房運営について
2.厨房と食堂
3.食事摂取量の調査
4.献立作成と栄養ケアマネジメントの関わり
5.まとめ

1.当法人の厨房運営について

当法人の厨房は直営で運営しています。食数は朝食100食、昼食120食、夕食100食を調理しています。厨房は1か所で、複数の事業所の食事を作っています。献立のサイクルは1年間で、毎月の行事食や、季節の野菜やフルーツを使用しています。(献立作成や調理について
年に2回の嗜好調査や毎食の検食記録を見て献立を修正することもありますが、献立作成者である栄養士も調理を行うため、自分たちで調理工程や量、彩りを見直して献立を修正することもあります。

2.厨房と食堂

厨房のすぐ隣に垂坂山ブルーミングハウスの食堂があり、窓で仕切られているため、厨房からと食堂からでお互いの様子を見ることが出来ます。
働いている職員からすると当たり前のことかもしれませんが、食堂方式の運営を経験したことが無かった私にとって、この食堂は非常に多くの情報であふれており、恵まれた環境だと考えています。食事の様子はもちろん、食事以外の活動の一部が調理作業や洗浄業務をしながらでも見ることが出来るからです。

3.食事摂取量の調査

厨房では毎食、個人の残食量を記録している為、食事摂取量の把握ができます。食事の盛り付けは厨房で行い、ご飯の量は全員分計量している為、食事の提供量から残食量を引いた量が食事摂取量となります。
基本的に全員完食されますが、体調不良や嫌いなものがあると残食される方がいます。残食される方がいるときは詳細を確認し、一時的な残食かどうか把握します。

4.献立作成と栄養ケアマネジメントの関わり

想定した提供栄養量(献立上の栄養量)と実際の提供栄養量に差が出ていると、食事摂取量と体重変動の計算と、食事提供量と目標体重が合わなくなるので、正確な献立作成と作業書どおりの調理を行っています。新しい食材や調味料を使用するときは似たような従来品の値(栄養量)を使用することなく、商品の成分表を取り寄せています。例を挙げると、ミートボールはメーカーにより、使用する肉の種類や比率が異なり、栄養量や1個当たりの重量に違いが出るため、商品ごとの成分表を記録しています。

5.まとめ

一人ひとりに適切な食事量を提供し、完食すれば栄養状態や食生活の向上が図れるはずなので、完食してもらえるよう、おいしい食事を作ることが大切です。直営給食の栄養士は給食管理も栄養管理も関われますが、どちらもできる事を求められます。
栄養状態や食生活の向上は毎日の食事が基本となり、一人ひとりの健康状態に着目すると、一人ひとりの食事量や食事形態、食器などの環境が異なります。毎日の食事は給食管理が大きく関わるため、委託給食に比べると、直営給食の方が給食管理と栄養ケアマネジメントの繋がりが強いです。しかし、おいしい食事を作るための人や食材費には限りがあるため、経営判断により直営給食よりも委託給食の方が最適な場合もあるでしょう。

参考・引用:
goo国語辞書
文部科学省食品成分データーベース