コラム

物の見方を変える「リフレーミング」とは

突然ですが、皆さん自分のなかで短所と思っていることや、コンプレックスに感じていることはありますか?人それぞれ思っていること、感じていることは異なると思います。
では、自分のなかで短所やコンプレックスと思っている事柄を違った視点で考えてみたらどうでしょうか? 物事の見方や捉え方を変えることで、新たな視点や意味を見出す心理学的な手法として「リフレーミング」があります。
今回のコラムでは「リフレーミング」についてまとめてみました。

【目次】:

1.リフレーミングとは
2.リフレーミングのメリットと注意点
3.福祉分野におけるリフレーミングとは
4.まとめ

1.リフレーミングとは

リフレーミングとは物事の枠組みを変えることでネガティブな視点をポジティブに転換する心理学的手法であり、1970年代にカリフォルニア大学のリチャード・バンドラーとジョン・グリンダーにより提唱されました。

リフレーミングと似た言葉に「ポジティブシンキング」があります。ポジティブシンキングとは物事を常に前向きに捉えようとする思考法で、ネガティブな感情を抑え、明るい側面を見ることに重点を置きます。一方、リフレーミングは物事や状況の捉え方を変えることで、新たな意味や価値を見出すことを目的としています。

ここで例題です。「コップに水が半分入っている」という状況を想像してみてください。

その捉え方が「半分しか入っていない」「半分も入っている」のどちらかによって、その状況に対する感情は大きく変わります。一般的に、「半分しか入っていない」では不満や不足を感じますが、「半分も入っている」では満足や喜びを感じると考えられます。

このように、同じ出来事や状況に対して異なる視点を持つことで、物事の感じ方を変えることができます。

2.リフレーミングのメリットと注意点

ここまでリフレーミングという言葉について説明してきましたが、次はリフレーミングにはどのようなメリットがあるのか考えていきたいと思います。

リフレーミングのメリットは、モチベーションの向上、ストレスの軽減、人間関係の改善、対応力の向上、問題解決能力の向上など、多岐にわたります。

①モチベーションの向上…失敗や困難な状況を成長の機会と捉え直すことで、意欲的に物事に取り組める
②ストレスの軽減…ネガティブな状況をポジティブに捉えることで、ストレスを軽減し、心の余裕を生み出す
③人間関係の改善…他者の行動や性格を異なる視点から捉え直すことで、より良い人間関係を築くことができる
④対応力の向上…新しい視点から物事を捉えることで、変化への対応力や柔軟性が高まる
⑤問題解決能力の向上…多角的な視点から物事を捉えることで、問題解決の糸口を見つけやすくなる

一方、リフレーミングには注意点もいくつかあります。まず、相手の状況や感情を無視して一方的にポジティブな言葉を押し付けるのは避け、相手の立場や気持ちに寄り添うことが大切です。また、ネガティブな感情を無視するのではなく、まずはそれを認め、受け入れることが重要です。

・相手の状況や感情を無視しない
・ネガティブな感情を無視しない
・現実逃避にならないように

・無理にポジティブに考えすぎない
・相手に強制しない
・自分の枠にとらわれない
・失敗から学ぶ姿勢を忘れない
・言葉の選び方に注意する

3.福祉分野におけるリフレーミングとは

リフレーミングという言葉を福祉の分野で考えてみるとどうでしょうか?福祉の分野では利用者さんの行動や状況を問題として捉えるのではなく、新たな視点から意味づけし、より良い方向へ導くために活用されます。具体的な活用例としては、①利用者さんの行動理解、②職員のストレス軽減、③自己肯定感の向上、④関係性の改善、などが挙げられます。福祉分野におけるリフレーミングは、単に言葉の使い方を変えるだけでなく、相手の置かれている状況や感情を深く理解し、より良い未来を共に創り出すための有効な手段と考えられます。

4.まとめ

今回コラムで「リフレーミング」という言葉について調べようと思ったのは、自分自身日々の支援について振り返るなかで、利用者さんの行動に対して「問題行動」や「こだわり」と悪い方向に考えてしまっていることが多いのではないかという思いがきっかけでした。また、日々のコミュニケーションのなかでも利用者さんそれぞれに良いところがあるはずなのに、「課題」と思われることが多く語られているように私自身は感じます。確かに悪い部分のほうが目につきやすいかもしれません。しかし、一度自分自身を見つめ直してみてください。自分が思っていたことを異なる視点で考えた場合、同じ事柄でも違った考え方ができるのではないでしょうか。「リフレーミング」という考え方は福祉分野に限った話ではなく、ビジネス、教育、人間関係、など様々な分野で活用することができます。最後に、無理にポジティブな考え方をする必要はありません。ただ、一つの物事に対して考える時、自分の考え方がすべてではなく、異なる視点で考えてみたらどうだろうかと思うだけで私自身は物に対する見方が少し変わってくるのではないかと感じます。色々な視点で物事を捉える柔軟性が大切であるように感じます。

参考資料
メンタルヘルスに効く!リフレーミングテクニック
日本NLP協会 NLP用語集 「リフレーミング」
リフレーミングとは?意味や効果、5つの手法とやり方、具体例