「はせがわくん きらいや」
表題の絵本、「はせがわくん きらいや」をご紹介させていただきます。
【目次】
1.大切な出会い
2.みなさんに読んでいただきたい理由
3.はせがわくんのお母さん
4.近くにいたあの子
5.まとめ
1.大切な出会い
表題は私が小学校の図書室で出会った絵本です。
おそらく見た目のインパクトで思わず手に取ったのでしょう。誰かに勧められた記憶はありません。もしそうならその人にありがとうと伝えたいです。
大人になりまた読みたいと思った頃には絶版していましたが復刻しました。表紙の絵はコミカルですが、中は字体・絵が白黒でおどろおどろしい悲しいような印象です。商業的に成功するために出版されていないのではないでしょうか?
2.みなさんに読んでいただきたい理由
内容は
はせがわくんの友達「ぼく」の日常です。体が弱くてへなへなのはせがわくんと接しています。遊んであげたり、助けてあげたり。ある日はせがわくんのお母さんにお菓子をもらって少しおしゃべりしました。ぼくにはわからない、はせがわくんは、なぜこんな感じなの?むちゃくちゃや。
著者は長谷川集平さん。
森永ヒ素ミルク事件の被害者ご自身が文・絵で表現した絵本です。
3.はせがわくんのお母さん
子どもであるぼくにわかるように話すはせがわくんのお母さんのシーンは、私がいつも障がいや病気とともにある人々の親御さんのことを考えるイメージの奥底にある姿です。特筆したいのはお母さんの話の見開きのページです。長谷川さんの墨で描く世界が冷たい無力感を表しています。こんな赤ちゃんの世界があることを私は小学校の図書室で知りました。公害や企業の責任について、考える以前の私の「感覚」を与えてくれました。
4.近くにいたあの子
私の小学校の同級生に(なんかちがう)と思う女の子がいました。知的障害という言葉を知らず接していましたが後に思い返すと彼女には知的障害があったと思います。一緒に校庭に出ていたし一本違う集団登下校の友達と一緒に歩いていました。時々からかう友人がいて学級会で話し合いもありました。
私は「ぼく」の気持ちは素直に理解できました。ぼくは(かなんなぁ)と思いながら、はせがわくんを助ける場面を含む生活をしています。私たちも「ぼく」と同じでした。
ただ「きらいや」って言うのは悪い言葉なんだともなんとなくわかっていました。あの子は私達には思いつかない変なことするから危ないな、とわかっていてそれとなく助けていたと思います。好きとか嫌いという評価以前の関係でした。今思うと片道1時間の登下校班で一緒だった友人達は本当に偉かったのです。あの子は、そんな友達に諭されるといつも「はあ?」「はあ?」(彼女の口癖だった)と、わかっていないとわかる反応をしつつ友達と過ごしていました。あの子の悩みや努力は今の私にはわかるのです。
大人になってこの絵本を再読すると私が幼い頃わかっていたことと今やっとわかることがこの本の上で交錯しました。
5.まとめ
弱者を助けることはきれいごとではありません。この絵本は、ただただみんなで等しく生活を送っているのだと子どもにわかるように教えてくれました。難しいことは置いといて。いろんな人と一緒に社会で生きていく、ニンゲンという生き物は豊かであります。ぜひみなさんも読んでみて下さい。
参照:
作・絵:長谷川集平
出版社:復刊ドットコム
発行日:2003年8月15日
初版は1976年。作者21歳の時に創作えほん新人賞に選ばれた。





