コラム

ワーク・ライフ・バランスを目指して(年次有給休暇制度について)

私は総務部で管理者をしております。福祉現場での就職をお考えの方は、年次有給休暇はどのような制度になっているのだろうか、取りやすい環境なのだろうか等気になる点だと思います。このコラムでは現在の年次有給休暇の制度、状況、四日市福祉会での状況、取り組み等お話ししたいと思います。

目次

1.年次有給休暇制度について

2.四日市福祉会の状況、取り組みについて

3.まとめ

 

1.年次有給休暇制度について

まず年次有給休暇制度について基本的なことを説明します。労働者を休ませリフレッシュする時間を与えることで、労働者により働きやすい環境を提供することを目的としています。年次有給休暇は労働基準法第39条により、入社後、基準日より半年後に付与されます。80%以上の出勤率を満たしていれば、正規職員、パート職員を問わず、付与されます。代表的な例ですと正規職員(フルタイム)は半年後10日付与されます。以降、基準日より1年半後、2年半後少しずつ付与日数が増える形で付与されていきます。(下記図参照)1年で消化しきれなかった有給休暇には「繰越」が認められますが、繰り越しても2年で時効にかかり、持ち越すことはできません。これは法律上の取り決めであって、企業により条件や運用が違う場合もあります。

日本全体の状況として、取得率は世界19ヶ国で最下位となっていますが(エクスペディア・ジャパン「有給休暇・国際比較調査2019」)、2015年の47.6%から少しずつ上昇し、2019年には52.4%となりました。(厚生労働省「令和元年就労条件総合調査」)また、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指し、2019年4月からスタートした有給取得の義務化(有給付与日数が10日以上の者は、5日/年取得する)も始まり、今後も取得率の上昇が見込まれます。業種別で取得率を見ると、電気・ガス・熱供給・水道業が高く72.9%、一方宿泊業・飲食サービスが一番低く32.5%となっております。医療・福祉は52.2%でほぼ平均というところです。(厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」)取得率が低い業種は「顧客やチームの状況に合わせて仕事を進める」「シフト勤務が多い」といった特徴があるといえるかもしれません。

2.四日市福祉会の状況、取り組みについて

当法人の状況ですが、取得率は65.6%(2020年度)で世の中の状況に合わせて取得率は向上してきています。以前は事業所により、取得率に差が見られましたが、改善してきています。一部職種の取得率の低さが課題としてありますが、仕事の割り振り、応援体制の構築を図り、向上させていく方向です。取り組みについてですが、法定有給付与以外の取り組みとして、介護・療養積立制度と時間有給制度があります。介護・療養積立制度は時効を迎える有給残分を年5日、計20日を上限に積み立てることができる制度です。介護及び本人の傷病、療養にあてることができ、私も取得させていただいたことがありますが、いざというときに、有給とは別に使用できるので、非常に助かります。時間有給制度は受診や用事で短時間休みたいという職員の声に答える形で平成31年4月より導入しています。有給の管理は大変になりますが、1時間単位で取得でき、一定の条件を満たせば、パート職員も取得でき、こちらも好評を得ています。

3.まとめ

有休所得率の向上は政府も2025年に70%を目標にしており、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスを進める意味でも、今後も重点課題として取り組んでいかなければならないと思います。当法人としては、職員の皆さんが希望する休暇制度の検討、さらに取得しやすい環境作りに努め、働きやすい職場を目指していきます。