コラム

障がい者雇用の現状と就労支援

2020年4月、障害者雇用促進法が改正されました。障害者雇用促進法は、障がい者の方の雇用機会と職業の安定を図るため、障がい者雇用に取り組む意義と、雇用主が守るべき義務が定められています。この改正により、障がい者雇用の取り組みで優良な中小企業を認定する「もにす認定制度」と、週20時間未満の障がい者を雇用する際に支給される「特例給付金制度」が新たに追加されました。法定雇用率についても、2021年3月より、民間企業・国、地方公共団体等・都道府県等の教育委員会、それぞれに0.1%引き上げられました。また、障害者差別解消法や合理的配慮の提供義務など、障がいのある方が、よりその人らしく働くことができる職場環境の整備が進められてきており、障がい者雇用を取り巻く情勢は日々変わりつつあります。今回は、実際に支援に携わってきた中で感じたことなどを踏まえて、就労支援を考えていきたいと思います。(※1)

【目次】

1.障がい者雇用の現状
2.就労支援への取り組み
3.職場定着に向けて
4.まとめ

1.障がい者雇用の現状

三重県内の障がい者雇用の状況について、三重労働局より発表された「令和2年 障がい者雇用状況の集計結果」(令和2年6月1日現在)では、民間企業(県内に本社がある45.5人以上規模の企業)に雇用されている障がい者数は、4,571.5人で過去最高となっています。身体障がい者は2,653人、知的障がい者は1,080人、精神障がい者は838.5人で、実法定雇用率も2.28%と7年連続で上昇し、法定雇用率達成企業の割合も59.0%で、全国で15位となり、全国平均48.6%も上回っています。法定雇用率達成企業には障害者雇用調整金が支給され、未達成企業は障害者雇用納付金が徴収されます。過去、企業訪問した際に、「雇用する体制を整えるのは難しいし、雇用してなくても納付金を払えば良い」という話を聞いたこともありましたが、その当時からは障がい者雇用の状況や考え方も、大きく変わってきたと思います。(※2)

2.就労支援への取り組み

作業場での就労支援は、主に日常の作業訓練を通して作業スキルの向上、挨拶・返事・報告などの習得、履歴書の記入や面接の練習などを行っています。就労を目指している方が、「どんな仕事がしたいのか」「働く時間はどれくらいか」「お給料はいくらか」等、本人や家族と話をしながら進めていきます。その過程の中で、本人と家族の求めていることにズレが生じていたり、本人の言われていることが二転三転して、何がしたいのか定まっていないこともあるので、その場合はしっかり話を聴きながら、本当にしたいこと、求めていることは何か確認しています。本人は就労を希望しているが、家族がまだ望んでいない場合、その逆もあります。友達が就職したから自分もしたい。作業場で苦手な人がいるから早く就職したい。人によって就職したい理由は様々ですが、就労後の定着を考えた時に、本人自身が就職することを本当に望み、したいと思える仕事に就くことがとても重要になってきます。利用者本人の気持ちをしっかり確認し、その上で就職説明会への参加やハローワーク訪問など、実際に仕事探しへと進んでいきます。就業・生活支援センターや職業センターなど、就労につなげていくまでの相談や、サポートしてもらえる機関もありますので、そういった関係機関と連携しながら、就労に向けて動いていきます。

3.職場定着に向けて

就労後は定着支援に移りますが、最初の頃は週に1~2回程度の職場訪問を行い、職場での様子の確認、一緒に仕事をされている社員の方にも、本人との接し方や課題などの聞き取りを行います。それと同時に、本人の障がい特性や配慮が必要となる部分を伝えていき、職場内での理解を少しずつ深めていってもらえるよう進めています。ジョブコーチ制度の利用や、就業・生活支援センターと連携していると、定着に向けてのフォロー体制がより充実すると思います。訪問の回数は徐々に減らしフェードアウトしていきますが、必要に応じて支援に入っていきます。人間関係や、仕事が上手くいかない、自分には合っていない等の本人が抱えている問題や、何度説明しても理解してくれない、出来ていたのにすぐに忘れてしまう、仕事の効率が落ちてきている等の雇用側が抱えている問題が起こってきます。特に、人間関係で悩んでいる場合は、相手がいる話なので改善が難しく時間がかかることもあります。それ以外の問題もそうですが、具体的な内容を確認しながら、本人や会社の担当者の方とも定期的に話し合い、メンタル面のフォローや、本人への伝達方法、環境調整などを検討し実践していく流れで改善を図っていきます。もちろん、全てが上手くいくことばかりではないので、定着につながる人もいれば、そうでない人もいます。こういった局面になった時、本人の仕事に対する気持ちの強さが、前向きに進んでいく後押しをしてくれるのだと思います。

4.まとめ

就職すること、その仕事を続けていくことは、本人にとってそれまでの環境が大きく変わることであり、大変なことも多いです。悩みや不安、嫌になることもあると思います。その時に大切なのは、やはり仕事に対する自分の気持ちを改めて考えてみることではないかと思います。その職場で仕事をするのは本人です。支援者が代わることは出来ません。支援する時に、私自身がいつも意識していることがあります。「悩みや不安を傾聴し、相手の気持ちに共感すること」、その上で「本人の気持ちが前向きになれるように一緒に考えること」です。何か特別なものではなく当たり前のことですが、忘れないようにしています。就労生活を続けていく中で、家族の支えや就労先の企業で一緒に仕事をする社員の方々の理解は欠かせないものだと感じています。また、本人の就労をサポートする支援者、そういった人達がいることで、より安定した就労生活を送っていけるのではないかと思います。

【参考文献】
※1 改正障害者雇用促進法(2020年4月)の新制度とは? (syougaisya-koyou.com)
※2 令和2年 障害者雇用状況の集計結果  三重労働局