コラム

障害者相談支援事業所におけるICT化の取り組み

当事業所では、人員を効率的に配置し、ICT化により生産性の向上・負担の軽減に取り組んでいます。当事業所で取り組んでいる業務のICT化について紹介します。

【目次】
1.ICT化に取り組んだ背景
2.相談支援の仕事とICTの活用場面
3.ICT化の具体的な取り組み
4.今回のまとめ

1.ICT化に取り組んだ背景

1つ目として、現在障害者の相談支援のニーズは高まっています。国で定められた人員基準の中でいかに質の高いサービスを提供するか、相談者と向き合う時間を作れるかが問われています。
2つ目として、最近特に働き方改革やワークライフバランスの推進など労働環境の改善が求められるようになっています。働きやすい労働環境は質の高い仕事につながると考えています。
3つ目に、相談支援事業の報酬の低さです。報酬単価の改善を訴えつつ、まずは自分たちでコストを削減する努力が必要であろうと考えています。最後に新型コロナ感染症の拡大です。人と直接会うことが制限されることも増えました。

2.相談支援の仕事とICTの活用場面

相談支援という仕事は、事務所以外での活動がとても多い仕事です。家庭訪問や会議などで移動を繰り返したり、次の予定の時間まで事務所に戻らずに待機したりということもよくあります。会議や面談記録、計画書の作成など事務ワークが多いのも特徴です。また、社内、社外の相手を問わず日程の調整や情報の交換などをすることも多く、たくさんの時間を費やします。こういった業務の中で、隙間時間や非効率な時間の使い方が多くありました。そこで、ムダを減らし、時間を有効活用するために事務ワークを中心にICTを活用していくことになりました。

3.ICT化の具体的な取り組み

・補助金の活用
ICT化にはIT機器が欠かせません。まずは必要最低限のIT機器をそろえるために、ICT関連の補助金に応募し、購入資金を調達しました。パソコンやその周辺機器、スマートフォンなどをそろえました。
・モバイルPCの導入
モバイルPCは軽く薄い設計となっているため、手軽に持ち運びができます。さらに、起動が速いため、開いてすぐに作業ができます。法人内のネットワークにリモートでアクセスすることで、外出先でも事務所と同じように作業ができ、隙間時間も有効に活用できるようになりました。しかし、紙媒体が多い環境では存分に活かすことはできません。これまで紙媒体で作成していたものをデータ化し、ネットワーク上で管理するようにしました。紙媒体を減らすことで書類の持ち運びの負担軽減や保管場所の経費の削減にもつながっています。
・スマートフォンの導入
みなさんもご存じの通りスマートフォンはとても便利なツールです。Bluetoothでヘッドセットとつなぐことで、両手を空けた状態で通話ができます。これまでは、電話をしながらメモをとって、パソコンに記録をしていましたが、電話をしながらその場で記録をしていくことも可能になりました。
・ビジネスチャットの活用
チャットはメールよりも手軽に相手とやり取りができるツールです。プライベートでも多くの方が利用していると思います。私たちは外出が多いこともあり、他の相談員と顔を合わせる時間が限られます。連絡事項や確認事項がある時に手軽にやり取りができる上に、電話と違って相手とタイミングを合わせる必要もありません。さらには、ビジネスに必要な機能が他にも付いています。例えばスケジュール機能で、各自がカレンダーに予定を入力しておくことで、それぞれの予定をいつでもどこでも確認することができます。

4.今回のまとめ

私たちの仕事は、記録や書類の作成など事務仕事に取られる時間が多い仕事です。少ない人員で、かつ限られた週40時間という仕事の中でいかに相談者と向き合える時間を作っていくかが問われています。ICT化は目的ではなく手段です。質の高い相談支援を提供していくために、これからも様々なツールを取り入れていきたいと思います。