相談支援専門員のお仕事
私たち相談支援専門員は、障害を抱える方本人やその家族が障害福祉サービスを利用できるようにサポートすることがメインの仕事ですが、それだけではなく、地域生活に関する様々な悩みを聞いて適切な支援を提供する、ひとりひとりの生活を支える仕事です。
今回は普段私たちが相談支援専門員として取り組んでいる仕事について、少しご紹介したいと思います。
【目次】
1.相談支援事業とは
2.相談支援専門員になるには
3.相談支援専門員に向いている人
4.まとめ
1.相談支援事業とは
相談支援事業とは、主に相談内容に対する情報提供や助言、必要な障害福祉サービスの利用に繋げる支援や、関連機関との連絡調整などをおこないます。介護保険のケアマネジャーの役割に近いです。相談支援は、相談内容に応じて「基本相談支援」、「地域相談支援」、「計画相談支援」、「障害児相談支援」の4種類に分かれます。それぞれの役割や目的には違いがあります。
【基本相談支援】
「基本相談支援」は、相談支援全体のベースであり、「地域相談支援」「計画相談支援」「障害児相談支援」をつなぐといった目的があります。障害のある人や家族が生活する中で悩んでいることや困っていることをヒアリングし、福祉サービスの情報、支援内容、他の機関との連携に関して情報を提供します。
【地域相談支援】
「地域相談支援」は「地域移行支援」と「地域定着支援」に分けられます。
「地域移行支援」とは、障害者支援施設等で生活を送っている人が退所した後、どのように生活をするかについての相談を受け、退所後の生活に必要な手続きやサービスの利用、生活の準備をサポートすることが一般的です。
「地域定着支援」とは、単身等で生活する障害のある方に対し、常に連絡がとれる体制を確保し、緊急に支援が必要な事態が生じた際に、緊急訪問や相談などの必要な支援を行います。入所施設や精神科病院から退所または退院した方や地域生活が不安定な方などに、「見守り」としての支援を行うことで、障害のある方の地域生活の継続をめざします。
【計画相談支援】
「計画相談支援」は、サービスの調整をする仕事です。障害のある人に対して、自治体から指定された事業者が障害福祉サービスの利用開始までをサポートする「サービス利用支援」と、既に提供されているサービスの見直しを図る「継続サービス利用支援」に分けられます。継続サービス利用支援は、サービスを提供された後に問題がないかどうか、定期的にモニタリングを行います。(サービス内容により定められている期間に違いがあります) さらに、障害のある人や家族の生活における悩み、不安の相談に乗るといった役割もあります。
【障害児相談支援】
「障害児相談支援」は、障害児や家族が通所サービスの利用を希望する際、障害児支援利用計画書を作る仕事です。また、通所サービスの利用を始めた後、定期的に「継続障害児支援利用援助」を実施し、支援を行います。
2.相談支援専門員になるには
相談支援専門員の資格を取るために、試験を受ける必要はありません。3~10年以上の実務経験と相談支援従事者研修の受講が要件となります。
ただし資格は更新制のため、維持するためには5年に一度相談支援現任研修を受講する必要があります。
3.相談支援専門員に向いている人
【冷静さを忘れない人】
もちろん相談支援専門員も人間ですので、「苦しみ」「悲しみ」「怒り」といった感情はあります。ですが感情的になってしまっては良い支援は出来ません。相手の悩みをどうにかしてあげたいと思うばかりに入り込みすぎてしまっても、共依存的な支援になってしまうでしょう。自分と相手の問題の線引きを行うことが大切です。
よく耳にする言葉だと思うのですが、福祉職に必要なのは「冷静な頭と熱い心」と言われています。仕事に対する情熱はそのままに、冷静さを忘れずに働くことの出来る人が向いていると言えるのではないでしょうか。
【『人間が好き』な人】
相談支援専門員は専門知識も必要ですが、それだけでは支援は成り立ちません。地域社会の様々なネットワークに積極的にアンテナを張ることや、情報収集も大切になります。
日々の仕事の中で、あらゆる困りごとに直面することになります。こちらの予想を超える展開や、出来事も起こります。決まった答えはなく、常に試行錯誤であり、支援に行き詰まってしまうこともしばしばあります。それをハードルと感じてしまってばかりでは、嫌になってしまうでしょう。『人間が好き』で、興味を持って接することができ、その探求を面白いと思える人が向いているといえます。
【向上心のある人】
相談支援専門員にはコミュニケーション能力も重要ですが、自分が持っている対人スキルだけではなく、他の支援員の対応から学んだり自ら新しい情報を取り入れて成長しようとする向上心も大切だと思います。常に変化する福祉制度や現場の状況に対応できるよう、学び続けることが必要です。
4.まとめ
相談支援専門員の役割とは、一言でいうと障害を抱える方の地域生活を支えることです。悩みや生活上の困りごと、希望する暮らしはひとりひとり違います。
それぞれにとっての豊かな人生が何なのかを一緒に考え、支援をすることが私たちの仕事です。相談支援専門員はひとりひとりの人生に深く関わることが出来るため、大変なことも本当にたくさんありますが、自分の携わった支援によって、相談者さんやご家族が笑顔になったり悩みごとが晴れたとき、やりがいを感じることができるのではないでしょうか。
参考
求人あるある介護
(https://www.kaigo-aruaru.com/content/blog-carrier-kaigo/soudanshiensenmonin.html)